とけるような夏の暑さの中、私はひとごみの中で溶けてなくなっていきたい


ふたりで過ごした夏は、これで何回目になるんだろうかと、そんな普通の恋人たちのような会話をするわけでもなく、互いの夏は無為無策のまま過ぎていく。


ただひとつ確かなことは、僕は素のままの君にはあまり興味がなく、あくまでもメガネをかけたままの君に興味があり、メガネを外すくらいなら、コンタクトに替えるくらいなら別れるね、と平気で頬を殴れたものさ。浮き雲。


例えば、寂しさのままの環境が、100年間ほど続くのであれば、それは一生を全てその中で終えることができると言えるだろう。
例えば彼女が、ある日突然おとこになって、男の世界のことも覚える必要があるかな、ということをこれっぽっちも気にしたことがないように、寂しさの世界のままで一生を終える保証のある人は、それ以外の世界について、なんらかの疑問を持つこともないのさ。だってそれは保証されているものだから。


もちろん、保証に絶対というものはないのだけれど、でも誰だって、明日自分が死ぬということに対して、なんらかの準備をしている人がいない、というレベルにおいて、それは同質のものだ。だから、問題ない、と言っているわけだ。私は。


だから、寂しい時は、自分で自分に☆をつける。